閉鎖路地

へいさ-ろじ。東方のこととかぼちぼち。

「幻想巡礼 ~Electronic Magician.」内容メモ

 2023年2月25日、東海高校・中学校で行われたサタデープログラム42nd内講座「幻想巡礼 ~Electronic Magician.」の内容メモ。記憶とメモを頼りに可能な限りもとの言葉とニュアンスを失わないよう記述しています。

 

 司会の挨拶。拍手が起こるもしばらく幕が上がらない。幕が上がると何やらバタバタした様子の神主。「PCでいつもの曲を鳴らそうと思ったけど鳴らなかった。」。
 スクリーンにパワポが映し出されている(「幻想巡礼 ~Electronic Magician」「出てくる人 東方Project原作者ZUN」と書いてある。右側に虹龍洞霊夢の立ち絵)。新幹線の中で作ってきたらしい。

 

ZUN(以下、“Z”)「サタデーナイトには18年位前にも来ていて……サタデープログラム。ついサタデーナイトって言っちゃう(笑)。ほとんど変わってなくて感動しちゃった。」
Z「配信とかはあったけど生で人を見るのは久しぶり。」

 

Z「今まで話してきてるから、あまり話すこともない。」
Z「こういうので一番盛り上がるのは質疑応答。」

パワポ画面変わる。「みんなからの質疑応答」「会場からの質疑応答」と書いてある(うろ覚え)。)

Z「だいたい全部、質疑応答で。」(会場拍手)

 

(司会が時系列順で質問を繰り出していくフェーズ)

司会(以下、“司”)「ゲームや音楽に触れたのはいつごろ?」
Z「ゲームに触れたのは保育園のとき。実家が営んでいた喫茶店に置いてあったテーブル筐体。」「昔のゲームは難しかった。幼かったのもあるかもしれないが、ああいうのを見て、大人になったらできるのかなと思っていた。」

 

司「当時遊んでいた中で印象深いゲームは?ファミコンとか……。」
Z「ファミコン以前だよね。小学生の頃に自分のお金で初めて遊んだのが『ソンソン』。すぐに詰む。音楽もすごく好き。」

 

司「ファミコンが出てからは?」
Z「初期は固定画面のゲームが多かった。だけど、スーパーマリオはスクロール画面ですごくよかった。」「当時のゲームの背景は真っ黒か星空だったけど、(スーパーマリオは)地上とか海も空もあって。」

 

司「少年時代はゲーム以外に何かやっていた?」
Z「少年というか、小学生の頃は虫取りが好きだった。虫取りかゲーム。」
司「白馬だから自然が……。」
Z「自然というか、田舎だから。」

 

司「大学に進学して、靈異伝を作ったということで……実は1996年じゃないとか。」
Z「そう。Wikipediaには1996年って書いてあるけど、実は1995年に発売していて。」「公式的には1996年ってことで。」「僕がいくら言ってもWikipediaは原作者以外の信頼できる情報源がないとだめらしくて……。」

 

司「靈異伝がブロック崩しだったのはなぜ?」
Z「特に意味はないが、練習として。」「子供の時に遊んだ、固定画面の昔ながらのゲームなら作れそうだったから、試しに作ってみようと。それができたので、かねてよりのシューティングゲームを。」

 

司「コミケに参加して、印象はどんなものだったか?」
Z「そもそもコミケを知らなかった。」「先輩に『こんなのを作れる人がいるなら申し込んでおけばよかったねー』って言われて、そんなのが、みたいな。」「ほんとに虫取りとゲームしか知らなかった。」

 

司「主人公が巫女さんなのは当時は珍しかった?」
Z「そう。当時は巫女さんが主人公のゲームがなかった。」「遡って奇々怪界くらい。」「マニアックな存在だったから、そういうのを主人公にしたかった。」
司「(※聞き取れず。)」
Z「そんなに神社が好きとかではなかった。」

 

司「当時は怪綺談以降に何か作る予定があったのか?」
Z「なかった。」「当時は就職氷河期でなかなか就職できなかったときに、たまたまタイトーに受かった。」「大学で5作品も作ったからまあいいかと。」「当時は東方を卒業する気でいた。」

 

司「倍率とか……。」
Z「高かった。」「タイトーアーケードゲームをいろいろ出していて、どれもセンスが良かった。タイトーが好きでタイトーに入りたかった。」「1万人中5人くらいしか受からなかった。」
司「就職してからはゲームを作ってない?」
Z「仕事で忙しかったんだって。」「当時は副業がNGだった。」「会社でゲームを作ってゲームを副業でやるとかヤバいって。」
司「作業量とか……。」
Z「作業量とかじゃなくてコンプラ的に。」(会場笑い)

 

司「なぜ『上海アリス幻樂団』と名付けたのか?」
Z「C61で申し込んだけど落ちた。」「その時は音楽サークルで出した。ゲーム会社に勤めててゲームを作るのはヤバかったので。」「落選して時間があったのでゲームを作った。」「(サークル名は)音楽サークルっぽい名前で考えた。(当時の)音楽サークルはちょっとひねた名前を付けるのが多かった。それで、上海が東洋と西洋が混ざりあう所、アリスが少女、っていう意味で、それっぽい音楽を作るよってことで。」「ちょっとゲームと雰囲気が違う。」

 

司「紅魔郷から世界観が変わったイメージがあるが、旧作と繋がりはあるのか?」
Z「別の世界ではないが、一緒にすると辻褄が合わなくなりそうなので、別ではないがシリーズものでよくあるふんわりとした繋がりの世界観。」
司「(※あまり気にしない/あまり繋がりはない……みたいなことを言った気がする。聞き取れなかった。)」
Z「そうそう。」

 

司「スペルカードシステムはどういうイメージで作った?」
Z「スペルカードシステムを入れたくて紅魔郷を作った。」「弾幕シューティングは東方と同時多発的に出て来てた。」「紅魔郷の頃は弾幕シューティングが無くなりそうな時期で、当時も『〇面の発狂段階』とかは話題になるけど、そういう呼び方だと廃れちゃう。名前を付けると語り継がれるかなと。」
司「必殺技みたいな……。」
Z「作らなくてはいけないと思った。」「会社に企画書を出したけどNGを出されて、自分で作らなきゃと。」

 

司「2004年に博麗神社例大祭が行われていますが、当時の様子とか。」
Z「(個人的に)東方が盛り上がってるように見えた。」「人の数は少ないけど、熱量はすごかった。新しいところに来ているっていうパワーだけはあった。」「ゲームシーンとか全然違うところを見てるんだなーと。」

 

司「永夜抄以降はしばらく間が空いたが、作る予定はあったのか?」
Z「紅魔郷から永夜抄Windowsの習作。スペルカードルールを入れて、熟成させて、完成させると。バランスがいい。」「永夜抄で盛り上がってしまったので終わらせられないなーと。今もだらだら続けてる。」

 

司「書籍について。」
Z「出版社側から依頼が来る。自分がやるんだったら……と条件を付けて、結局自分の首を絞めてる。」「書籍も楽しかった。」

 

司「ニコニコ動画で二次創作が盛り上がったが、当時の想いとか。」
Z「二次創作は永夜抄の頃が一番盛り上がってて、すでに盛り上がってたところで急に広まった感じ。このころの人は二次創作から入ってくる人が多かったんじゃない。」「このころにユーザーのなかで二次創作と原作が混ざってきた。」

 

司「このころにガイドラインが制定されましたが。」
Z「しかたなく。質問されたから。」「公式に問い合わせないのが同人界隈のルールだった。公式側は質問されてもNGを出さざるを得ないから。たぶん法律的に。だけど、東方は同人だったからそこら辺が緩かった。」「質問してくる人が増えたからガイドラインを決めた。」

 

司「風神録星蓮船の三部作について。」
Z「紅魔郷永夜抄は自分が作りたい弾幕シューティングを作ってたけど、風神録星蓮船の三部作は東方とは何かを再確認するためのもの。」「(質的な意味で)作品のクオリティを上げるために。世界観が見えるように。」

 

司「風神録は(神主の出身県の)長野県の諏訪神社が元ネタの一つだが、何か特別な思いは?」
Z「特別な思いとかじゃなくて……。」「自分が子供の時から感じてきたことを入れた。こういうのは他のゲームではできないこと。そういうゲームは他にもあるかもしれないけど、東方ならでは。」

 

司「ゆっくりが話題になりましたが……。」
Z「あれね。」(パワポを指さす。ゆのみ霊夢とゆのみ魔理沙のイラストがある)
Z「話すと色々あるね。」「ゆっくりは2chから出てきて。もとはAAだった。」「当時は東方の話をするとあれたんだよね。」「それで2chから出禁になってしたらばでしか話せないと。」「そしたらゆっくりで荒らす人が出て来たんだよね。東方を好きじゃない人がスレの最初にAAを張り付けたり。東方が荒らすためのツールになってた。そういう文化だったんだな。」「あんな親しまれるものになるとは思わなかったね。」

 

司「東方が御三家と言われて有名になりましたが。」
Z「有名みたいだけど、そうでもない。サブカルの王様みたいな扱いで、知らないとおたくじゃない、みたいな。みんな名前だけ知ってるって感じ。大きいのか大きくないのか分からない。」

 

司「最近は時事ネタを取り入れたり……。」
Z「時事ネタというか、自分の考えを出すと時事ネタになる。日記みたいなものだから。そのとき感じてることをいっぱい出してくようにしてる。」「輝針城の頃からその時の時事ネタを扱うようになった。」
司「下剋上とか……。」
Z「下剋上っていうのは、当時、インディーゲームが世界の主流みたいに入ってきて、ちょっと待てよと、日本には同人ゲームを作ってる人がいるんだぞと。」
司「虹龍洞なんかは特に……。」
Z「分かりやすいね。コロナ禍でイベントが開けなくなって、っていう。ほかにもいろいろあるけど……。」「ほかの人が後から作れないものを出すようにしてる。」

 

司「Steamで販売を始めたが……。」
Z「今はCDで買ってる人はあまりいない。そもそも読み取れる機械がないと。このパソコンも読み取り機ついてないでしょ。そうせざるを得ないんだよ。」「CDはグッズ。今はもう店頭であまり売ってない。あれは公式グッズなんだよ。」「世の流れに乗るしかない。」

 

司「同人におけるコロナ禍での人とのつながりについて。」
Z「ゲームだからなぁ。僕は一人でゲーム作ってるし。」「でもイベントに行くとみんな楽しい。ネットのやり取りは孤独に感じるけど、イベントに行くとワクワクするし、ゲームをまた作りたくなる。いずれ毒のように回ってくるんじゃないかなと。」

司「二次創作スマホアプリなどが最近出ていますが、昔は嫌っていたとか。」
Z「今でもそうだよ(笑)。ああいうのは僕は作りたくない。だって基本無料とか怪しいじゃん。(会場笑い)絶対無料じゃないし。このくらいの金額でどれくらい遊べます、っていうのがいいな。」

 

司「今後の方向性は?」
Z「作りたいと思える間は作りたい。だから作りたくなくなるのが怖い。それで作りたいと思い続けられるか模索してる。今後も僕の作りたいと思うゲームしか出ない。」

 

司「東方以外は作らないんですか?」
Z「よく言われる。ほかのゲームを作っても東方って言われるので東方しか作れない。」

 

司「秘封など東方では月が重要なもののように思われるが、何か特別な?」
Z「月……月って良いよね。」(会場笑い)「月の都って単語が好き。……月の兎とかもいいねー。単純に月が好き。昔話として。」「月面探査とかも好きだよ。単純に月が好き。」(会場笑い)「火星も好きだよ。星が好き。」
司「火星は東方に出ますか?」
Z「人が行くのはまだ先じゃないかな。幻想郷に合うかな……?火星に残された探査車とか気になるけどね。」

 

司「年収の方とか、二次創作からお金を取ったりしないんですか?」
Z「お金をもらっても大したものにならない。僕はけっこう儲かってるし、二次創作者さんはあまり儲けてないしお金とっても……。好きなものを作ってればそれで……。」
司「年収の方は?」
Z「有名ユーチューバーより少し少ないくらい。」

 

司「ゆっくり茶番劇が話題になりましたが。」
Z「(※しばらく茶番劇騒動の流れを説明)」
Z「ニュースで取り上げられたけどゆっくりのいい宣伝になったね。東方の宣伝にしかならなかった。地上波で流れたのは最高に楽しかった。」「真面目なニュースで流れたときはワクワクしたね。」
司「ヤフーニュースとかでも取り上げられて。」
Z「ああいう出方するのは楽しい。ゆっくりがどういうものかみんな分かったし、こんな時代が来るとは思わなかった。」

 

(ここからはグーグルフォームで募集した質問。質問はQで表記する。)

 

Q「小中学生からの人気についてどう感じているか?」
Z「例大祭で若い子が多くなった。こういうコンテンツは大学生あたりがメインだけど、だんだんと高校生、小中学生が増えていった。」「あんな難しいの小中学生には遊べないよね。でも寄せない。」「僕のサークルに並ぶのはおじさんか若い男性。ほかのサークルには女の子が並ぶ。ずるいよね(笑)。」

 

Q「蓬莱人形のピエロはまだ生きていますか?」
Z「ジャケットの絵のことかな?違う?たぶんそうだよね?あれは絵だからどういうイメージで描いたとかは分からないなー。昔のことを質問されても覚えてないよ。」「分からないってことは、まあ、いるんじゃないのかな。」

 

Q「究極反則生命体の報告をしてきた人は何人?」
Z「結構な数。毎年イベントに行くと報告しに来る人がいる。まだやってるんだ、と驚く。」「不可能ではないんだけど、中学生が報告に来ると、どっかのスパイになるのかな、みたいな。そんな高い能力持っててどこで使うの?」
司「ZUNさんはクリアできますか?」
Z「できない。自分ができるとみんなできちゃうから。」
司「今、弾幕シューティングはどのくらいできるんですか?」
Z「ルナ通しては辛い。体がもたない。」

 

Q「旧作キャラの復活はどう考えてますか?」
Z「絶対ない、と言う必要もない。あるとも言えない。こういう質問は要望と受け取ります。」

 

Q「好きなキャラクターは誰?」
Z「ピュアな質問だね。うーん......やっぱり霊夢で(笑)。こういうのは正解が分からない。質疑応答で正解が分からないとか言っちゃいけないか。」

 

Q「名前はどうやって付けてますか?」
Z「名前はいつもギリギリまで考えてる。」「同姓同名の(実在の)人が出てしまうのでちょっと珍しい名前にするし、キャラクターのイメージに合う名前は付ける。」「しっくりこないと2,3日置いて、しっくりくればそのまま使う。たまに変えてなくて昔の名前が残ってたりする。」

 

Q「一番好きなお酒は何ですか?」
Z「ビールだね。」
司「具体的な銘柄とか。」
Z「最近飲んでるのはハートランド。」「高校でお酒の話をするのは余り良くないか。これからの時代はお酒を飲まなくても良くなるよ。お酒を勧めたりはしないけど、僕は好きです。」(会場笑い)

 

Q「美鈴は何の妖怪ですか?」
Z「求聞史紀だったと思うけど、妖怪は『その他』に分類されてるんだよね。何の妖怪とかはない。その他が妖怪。人間じゃない何か。」
司「抽象的な……。」
Z「妖怪がそんな感じ。」

 

Q「初心者が最初にやって欲しい原作は?」
Z「ファンに訊いた方がいいよね。」「最新のやつがいいかな。日記みたいなものだから、後から見ると分からなくなる。」

 

Q「最高の曲は何ですか?」
Z「いっぱいあるなぁ……(悩む)」
司「最近のとか。」
Z「最近のね、千亦の『あの賑やかな市場は今どこに』かな。」「でも人気が低いんだよね。」「表情豊かに作れて、感動したんだけど。」

 

Q「人気投票についてどう思っていますか?」
Z「半公式みたいになってるよね。ワクワクして見てる。妖夢が一位とか、順位の変動が意味わからない。」
司「霊夢の順位が落ちたりとか。」
Z「それは意外ではない。靈夢は最初は一位じゃなかったからね。何で霊夢が一位なんだろう。メジャーな漫画とかの人気投票だと主人公が一位になったりするけど、東方が好きな人はひねくれた人が多いのに。」
司「こいしとか。」
Z「そっちの方がいかにも東方っぽい。」

 

司「これで最後なんですけど……30代男性からの質問です。」
Q「霧雨魔理沙になるにはどうしたらいいですか?」(会場爆笑)(本日のハイライト)
Z「着ぐるみとか被って……。帽子ならありそうだよね。魔理沙は人間だからなりやすいよ。」
司「人間じゃないと?」
Z「人間じゃないやつは人間をやめないと。」

 

(これで事前に集めた質問は終了。)

 

Z「ちょっといいかな……会場で10代、未成年はどのくらい?手を挙げて。」

(半数くらい上がる。20代、30代、40代と続ける。それぞれ3割、2割、1割弱くらい)

Z「コアな人はこのくらいの年齢層なんだよね。いちおう50代の人。」

(ちらほら見える。)

Z「10代が多いよね。」

 

(来場客からの質疑応答に移る。)

 

Q「作品に名前が出ないキャラに絵はありますか?」
Z「名前が出ないって言うと、道中ボスとか……。」
Q「そうではなくて、水鬼鬼神長とか。設定の無いキャラ。」
Z「そういうキャラに絵はない。次出るときがあったら改めて作る。今はない。」

 

Q「結婚したり、子供が出来たりして幸せな生活を……」
Z「いや、その前から幸せなんだって(笑)。」
Q「結婚したり、子供が出来たりして、心境の変化などはありましたか?」
Z「それは大切なことだね。」「大学生の時は起きてる間はひたすらゲーム作りをしたり、社会人、20代~30代になっても夜遅くまでゲームを作ったりできていた。それまでに体力を使いきっちゃったり、子供の頃からの知識を出し切っちゃうから、30代後半から40代になると気力やネタが無くなってくる。気持ちだけがある、めんどくさい大人になっちゃう。」「子供がいると、送り迎えをしたり行事に行ったりとかするだけで、新しい情報がいっぱい入ってくる。自ら情報を取りに行かなくても。創作するにあたって子供がいるのは大切。」「時間はなくなっちゃうけどね。そこは技術で補う。」「子供と一緒の生活で良かったな。」

 

Q「原曲に星蓮船あたりから曲調、雰囲気に変化があったように思われるがどうなのか。」
Z「難しいね。星蓮船地霊殿は、空と地底っていうことで、雰囲気の違いは出してる。それは確か。それ以前、以降となると、自分ではわからないね。」
Q「変わった原因とかに心当たりは……。」
A「その頃に結婚してるから、私生活の変化はあったかもしれない。でも、そんなに変わんないんじゃないかな。」

 

Q「ZUNさんの作品は世界観に個性や特別感がある。どんなものから影響を受けたのか?」
Z「アニメはあまり見ないし……。ほかのコンテンツにあまり詳しくない。紅魔郷からは、自分が見たりふれたりしたものを自分なりの解釈で出してる。」「自分らしさを考えて作っている。だから、影響を受けたコンテンツは特にないかな。」

 

Q「(二次創作ではニート扱いされたりするが)輝夜はどんな性格なのか?」
Z「二次創作でよくある、ひきこもりで間違いないと思う。世間知らずで外に興味がない、まさしくお姫様みたいな。」「みんなが思ってるイメージで間違いない。」「昔話のかぐや姫ってひどいよね(笑)。だって、無理難題を言って求婚を断って。あの性格の悪さと言ったら……。」

 

Q「僕、ニワカなんですけど(会場笑い)、曲とか結構好きで……。曲名とキャラの結び付け方はどんなものか。」
Z「曲名はゲームのイメージに必ずしも合わせる必要がないんだな。」「キャラに合った曲を作り、曲に合った世界観の曲名を付けるという順番で、曲名には東方とは関係ない言葉も入れてる。」「だから曲名とキャラ名がたまにかけ離れる。」
Q「ありがとうございます。Twitterフォローさせていただきました。」(会場笑い)

 

Q「ひろゆきさんについてどう思っていますか?(大声)」(会場笑い)
Z「え?誰?」
Q「ひろゆきさん。」
Z「ああ、ひろゆきさんね。ひろゆきさんとはね、仲いいよ。」「あんなイメージになっちゃってちょっと怖い(笑)」「私はいろんなところでひろゆきさんの悪口言っちゃうけど、ひろゆきさんが前に僕を褒めてる動画を出してたから、あまり言わないようにしてる(笑)」「ドワンゴのトップだったから、仕事の関係でお酒飲んだりしてて、来週もひろゆきさんとお酒飲んだりする配信をします。」「ひろゆきさんはいいように使われてる。頭がいいからテレビで言わないような受けることを言うし、視聴率がとれると思ってテレビに使われる。それを断れないんだ。」「根はいい人なんだな。」「炎上に巻き込まれないように気を付けます(笑)」

 

Z「紅魔郷のデータに残ってる、3人目の自機の名前は何て読むんですか?」
Q「みんな知らないと思うけど、データに名前があるんだよね。」「作る予定があったけど時間がなかった。ギリギリまで作ってて、絵とかもあったけど、間に合わなかった。完成させることを優先させた。」「いわゆる没キャラってやつだね。」

 

Q「スペルプラクティスを導入したのは何か考えが変わったのか?」
Z「永夜抄でスペルプラクティスを初めて入れたのは、3部作の最終作だったから。スぺプラを入れると完成形になって、そこで終わりになってしまうので入れたくなかった。」「シューティングで難しい部分だけやって満足してしまうというのは、当時の僕の中ではダメだった。」「今の東方は、ショートムービーみたいになってるから、それを見るために、っていうのではいいのかな。点を稼ぐゲームから雰囲気を味わうゲームに変わったので。」

 

Q「作るのに一番苦労したキャラは何ですか?」
Z「みんな難産だった。」「最近......ラスボスにごちゃごちゃ装飾がついてるのは苦労した証。描いてるうちにわけわかんなくなっちゃって。」「最近だと埴安神袿姫。名前も変だし、見た目もどうしようかと……。」

 

Q「フランファンとしては最近供給過多で死にそうです。」(会場笑い)
Z「剛欲とかね。心境の変化とかではないけど、息子の学校に行くと掲示板にフランの絵が貼ってある。」「子供の絵にはフラン率が高いんだよね。だからというわけでもないけど、隠しキャラみたいなのがこんな人気になってるんだ、って。気付いたらこっちでも普通に出てた。」

 

Q「蓬莱人形のブックレットが変更されたのは何か心境の変化とか……。」
Z「紅魔郷が出た後にプレス版を出した。短い期間だし、特に心境の変化とかではなくて、単に作り直した。リマスター版だと思ってください。」「覚えてないんだよねー、20年も前だよ?」

 

Q「一番思い入れのある二次創作は何ですか?」
Z「二次創作とか見てないからなー。音楽が好き。音楽系の二次創作には触れることが多い。だからライブ……ライブも二次創作っていうのなら、ライブのステージで騒いだりするのが楽しい。音楽ライブが一番好き。」「こうやって(腕を振る)、みんなで『( ゚∀゚)o彡゜えーりんえーりん!』とかやってるのが楽しい。」

 

Q「妹キャラが強いことが多いと思うが、何かこだわりがあるのか?」
Z「確かに。そうだね。クセなのかな?」「若い方が元気で、歳取ってる方が落ち着いているっていうのが僕の中でしっくりくる。」

 

Q「私は30歳なんですが、紅魔郷以来15年間東方ファンで……」
Z「おお、古参だ。」
Q「15年後、100年後の東方はどうなってると思いますか?」
Z「100年後はないだろ(笑)。15年後とか、あまり先過ぎることは考えない。ずっとこれからも続けていくとか、無責任なことは言えない。わかりません。」
Q「ずっと止まらないで広がっていく……」
Z「そんなことないんじゃ……(笑)」
Q「失礼ですが、神主が幻想入りした後とか……」
Z「それは分からない。すでにクトゥルーみたいになってるけど。紅魔郷の頃はYouTubeとか動画配信サービスなんてなかったけど、今後も新しいサービスとか職業が出て来ても、ここ15年位なら(二次創作は)やってることは変わらないんじゃないかと思います。」

 

Q「座右の銘は?」
Z「おお、座右の銘かー。紅魔郷の頃から好きなのがあって『人を呪わば穴二つ』。(客席から拍手)」「人を嫌うなら自分は死ぬ覚悟でやれ、と。」「僕は人を恨まないようにします。だからみんなは僕を恨まないように(笑)」

 

Z「おお、同人ソムリエだ。」
Q「ここ2、3年で読んだ本で一番人に薦めたい本は何ですか?SFとか……。」
Z「あまり本を読まないけどね。そういうイメージがあるのかもしれないけど。現実の方が面白い。」「宇宙とか最近は量子力学とか興味があるかな。」
Q「最近は中国SFとかが……三体とか。」
Z「三体とか……読むと影響受けちゃうから。あまり読まないようにしてる。」
Q「一つ『これは』っていうものは……」
Z「ホモ・サピエンス全史。あれ良かった。面白かった本はいっぱいあるけど言いたくない。作品のネタにするので(笑)」

 

Q「学生時代は自由な時間が多いが、やった方がいいことなどはありますか?」
Z「一番時間があるのは大学生だね。授業はほどほどに……目指したいことをやってみたり頑張ったりしてもいい時期なのかなと思う。アウトドアとか、スポーツとか、勉強してもいいし、ひたすらゲームをやってもいいし……なんでも吸収できるから。でも、ずっとだらだらと何かをするというより、『これが好き』とかを考えてやった方がいい。」「勉強はした方がいいかな。」

 

Q「弾幕アマノジャクの8日目の1で針妙丸が途中で弾を打たなくなるのはなぜ?」
Z「基本的にそれまでに倒せるから。」「そんなひねたことをすると思わないし、ミスだと思います。」「もしかしたら、攻撃する気が無くなったのかもね。そう受け取ってもらって構わない。」

 

Q「プレイした中で一番楽しかったゲームは?」
Z「自分のゲーム以外で?ダライアス外伝が一番好き。レイフォースもいいな。話し始めると止まらないね。」

 

Q「そろそろ秘封新作出しませんか。」
Z「あるとも言えないし、ないとも言えない。楽しみにしていて。」「秘封はゲームを出す余裕がない時に出すことが多いので、(ゲームが出るのと秘封CDが出るのと)どっちが幸せなんだろうね。」

 

Q「まらしぃさんに影響を受けてピアノを始めたんですけど……」
Z「すごい。」
Q「『天空の花の都』が好きなんですが、どういう気持ちで作ったのでしょうか?」
Z「2002年の冬コミで体験版を出して、夏コミまで時間があった。その間に色々考えて、作り直したり、4面の曲で没になったのもあった。」「最終的に雲の上に(※雲のように?)静かなメロディーを流したかった。弾幕シューティングであまり見たことのない演出をしたかった。」「曲が長くなって道中も長くなっちゃったのが反省点かな。」

 

(質疑応答終了。最後まで挙手が増え続けた。)

Z「やっぱり、質疑応答が一番盛り上がるね。」

(神主の采配でサイン入りバレットフィリア/虹龍洞を賭けたじゃんけん大会が始まる。じゃんけん大会終了後、その場でサインを入れて一人一人渡していく。渡すごとに拍手が起こる。卒業証書授与式かな?)

Z「イベントとかでたまにサイン会とかをすると、中国人が多い。見たことの無い漢字もあって、『これで合ってるのかな?』って」

(渡し終える。)

Z「いろいろ喋ったけどね、実はシラフなんだよね(笑)」「東大へ講演に行ったとき、『ここは1、2年生が多い校舎なのでお酒はダメです』って言われたのに、頼んでないのに向こうがお酒を勝手に持ってきて、実行委員の人に『お酒はダメです』ってお酒を持っていかれて。まるで僕が悪いみたいに(笑)」(会場笑い)

(終了の挨拶。解散。)